平成24年度 第36回 卒業証書・学位授与式

本学卒業式が平成25年3月16日(土)、白山市松任文化会館で行われました。短期大学部(幼児教育学科152名、美術学科71名、ビジネス実務学科110名)計333名、専攻科福祉専攻26名、美術学科研究生3名、留学生別科8名、美合計370名が希望を胸に巣立ちました。

中山学長が、卒業生の代表として檀上に上った美術学科の髙田望さんに卒業証書を手渡しました。

答辞では、ビジネス実務学科の粟井柚佳里さんが先生方へ2年間のお礼や感謝の気持をのべ、「苦しみながらも達成感を得て迎えた卒業の喜び、友情、そして深く大きな愛で向き合ってくださった方々への感謝、このすべてを誇りとし、この後、どんな困難があっても乗り越えて、自分の夢に向かって進んでいきたい」と語り、これからの社会への希望と強い決意をみせました。

式次第
学長式辞

平成24年度 卒業式 式辞 
金城大学短期大学部
学長 中山 治男

 370名の卒業生、修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。この日をどんなにか心待ちにされていたであろう、保護者やご家族の皆さまにも心からお祝いを申し上げます。
 ご多忙の中、本日の晴れの場にご臨席を賜りました白山市市長はじめご来賓の皆さまには厚く御礼申し上げます。

 だいぶ以前のテレビコマーシャルで、「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく価値が無い。」というものがありました。細かい文言は少し違っているかもしれませんが、タフさと優しさを対比させたフレーズが今も記憶に残っています。
 二年前の「東日本大震災」の大津波や、今も解決のメドが立っていない「東京電力、福島第一原子力発電所」の事故、中国との尖閣諸島を巡る領有権問題、そして何よりも少子化や高齢化社会の到来などが、私たちの未来の風景を閉じた暗いものにしています。まさしく、時代状況は「タフでなければ生きていけない」かのようです。
 「タフな人」というと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。強靭な肉体を持つアクション映画のヒーローや、スタミナドリンクを飲んで、世界中を駆け回るスーパービジネスマンでしょうか。昨年の流行語大賞となった「ワイルドだろう」という言葉も、何か時代の閉塞感を打ち破りたいという国民の気分が表れていたように思います。
 そんな中で、京都大学の山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞の受賞は、私どもを大いに勇気付けてくれる明るいニュースでした。IPS細胞という万能細胞の開発に成功した功績です。その業績がこれほど早くノーベル賞という形で顕彰されるのは、極めて稀なことだそうです。それだけ大きな価値のある研究成果で、今後のさまざまな医療や医薬品開発への展開が大いに期待されています。山中先生は、当初臨床医を目指されたそうですが、「医師としてはあまり出来がよくなかった。」とご自身で述べられており、基礎医学研究への転進がその能力を開花させたもののようです。ご自身の可能性を信じ続けることが出来たということで、実に「タフな人」だったと思います。
 誰もが山中伸弥教授のような才能を持っているわけではありませんが、自分の可能性を信じ続けることはできます。それは絶対にあきらめないことです。人生はよく山登りに例えられます。登ってみるまでは、誰にも頂上の風景は見えないのです。そして、頂上を目指すルートは一つだけではありません。こちらがダメなら、別なルートを当たってみる。それでもダメなら、全く別な山に登ってみようということで成功したのが山中教授だったと思います。「医師としての(別ルートの)経験が、IPS細胞の開発に大いに役立った。」と述べておられます。

 さて、今日の晴れの日に、卒業生の皆さんはどのような人生の目標を立てておられるでしょうか。大多数の人は就職や進学が決定しています。登る山のイメージが明確になって、既に一歩か二歩を歩みだした人もいることでしょう。英語の卒業を表すGraduateは一段階上がることを意味しています。未だに登ろうとする山が見えてない人も焦ることはありません。卒業を機にとりあえず一歩を踏み出しましょう。歩き出した時は霧に覆われているような感じでも、徐々に山の姿が見えてくることは確かです。特別魅力的に見えなかった仕事が、ある経験をきっかけに面白くなり、いつの間にかその道のベテランになっていたという話は、稀なことではありません。ともかく、何らかの仕事に就きましょう。

 卒業生の皆さんが一歩前に踏み出す力は、金城大学短期大学部での学びが保証しています。演習、実習科目の多い本学での学びは、多くが「仮説をつくり客観的な方法で検証し、結論を導き出す」という学問作法の訓練でした。これは自分の頭で考え抜く経験をたくさん積み重ねたことになります。幼児教育学科「四特化の研究発表会」やビジネス実務学科の「ビジネス学会」、美術学科の「卒業制作展」などで、皆さんは、自分とは異なる価値観とぶつかり合い、反発し、好いと思われることを自分の中に取り込んでいくことで、自分自身を鍛えることができたのではないでしょうか。
 冒頭に「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく価値が無い。」と申し上げました。タフさが身につけば人は自ずと優しくなります。今世の中の仕組みが大きく変わろうとしており、仕事に必要な知識や技術、市場構造なども時々刻々と変化しています。これに対応するには、「絶対あきらめない」という精神的なタフさと健康が必要です。これからのあなたたちを育て続けるのは、あなたたち自身です。自分自身に投資して、一生学び続ける姿勢を持っていただきたいと思います。いかなる時代状況になろうと、またいかなる場所であっても、タフに生き抜いてください。
 金城は皆さんの母校です。「母なる学校」は同時に「母なる港」の母港でもあります。人生航路に疲れた時は、いつでも金城に立ち寄ってください。
 皆さんのご活躍を大いに期待して、式辞といたします。