毎年の健康診断の結果、「正常値」「異常値」の基準だけで一喜一憂していませんか? 実はその検査数値には、将来の医療費につながる複雑な関係が隠されています。
金沢大学と金城大学の文理医融合研究グループ(研究代表者:金沢大学 唐島成宙准教授)が、健診データと将来の医療費との新しい関係を解明しました。本研究には、本学総合経済学部の寒河江雅彦教授と平子紘平准教授も共同研究者として参画しています。

研究グループは、60〜74歳の6,757人を対象に、複数年度にわたる特定健康診査(いわゆるメタボ健診)のデータとレセプトと呼ばれる医療機関からの実際の医療費請求データを結びつけて分析を行いました。
人間の体は複雑なため、検査数値と将来の医療費の関係は必ずしも単純な直線にはなりません。そこでデータ同士の関係を直線ではなく「曲線」として表現できる「一般化加法モデル(GAM)」という統計解析手法を採用し、より現実に近いリスクの変化を可視化しました。
分析の結果、過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す血液検査の指標である「HbA1c」は、男女を通じて将来の医療費と一貫した関連を示しました。特にHbA1cはJ字型のカーブを描き、約6.0%を超える領域から将来の医療費との関連がグッと強まる傾向が認められました。
また、肥満度を示すBMI、腹囲、脂肪肝指数(FLI)についても将来の医療費との関連が認められましたが、そのリスクの現れ方には明確な男女差がありました。男性では腹囲やFLIとの関連が比較的大きく、女性ではBMIや腹囲が高い数値になった領域で関連が強まる傾向が示されています。
健診の数値を単純に「正常・異常」で捉えるのではなく、「どの数値の範囲になると医療費への影響が強まるのか」を分かりやすく「見える化」した点が、この研究の大きな特徴です。 本研究成果は、Springer Nature が出版する国際学術誌『Health Economics Review(2026)』に掲載されました。 タイトルは『 Nonlinear modeling of health checkup factors and future claims-based healthcare costs in Japan: a retrospective cohort study 』で著者名: 中村晴人、原田魁成、平子紘平、澤村俊孝、今村幸祐、寒河江雅彦、南保英孝、唐島成宙 です。
私たちが生活習慣病を予防し、地域で健康づくりを進めるための大きなヒントとなるこの研究成果について、詳しい内容は、以下の金沢大学プレスリリースからご覧いただけます。
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