NEWS 第11回保健・医療・福祉創造フォーラム 「一人ひとりが輝く共生社会の創造」報告

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第11回保健・医療・福祉創造フォーラム 「一人ひとりが輝く共生社会の創造」報告

本学が北國新聞社と共催する「保健・医療・福祉創造フォーラム」は11回目を迎えました。今回は、プロバレーボール指導者の眞鍋政義氏をお招きしての講演とともに、「共同と個性」をテーマとしたシンポジウムを開催。大勢の聴講者が熱心に耳を傾けました。

日時 平成28年11月19日(土) 13:00~16:30
会場 社会福祉学部棟 110大講義室
スケジュール 13:00 開式
13:15~14:30 講演
■テーマ:「逆転発想の勝利学 ~組織マネジメント 女性を輝かせるテクニック~」
講演者 プロバレーボール指導者 眞鍋政義氏
14:45~16:25 シンポジウム
■テーマ:「~共同と個性~ これからの社会を支える人材の育成・人間教育の実践」
16:25 閉式

 

大会長の挨拶

半谷 静雄氏((第11回大会長 金城大学 学長))

本フォーラムも第11回を迎えることができました。これも市民の皆様のご支援と関係機関の方々のご高配の賜と厚く御礼申し上げます。
少子高齢化が進む日本。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、これまでの社会保障制度の持続が難しくなる時代がやってきます。こういった背景のもと、厚生労働省では高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるための「地域包括ケアシステム」を推進しています。こうしたシステムを構築し円滑にまわしてゆくためには、医療・介護・福祉の現場におけるチームプレイの重要性に目を向けなければなりません。
本日はロンドン五輪で女子バレーボールチームを銅メダルに導かれたチーム作りのプロ眞鍋政義氏のご講演と、共同と個性のテーマでのシンポジウムを開催する運びとなりました。本フォーラムが、白山市における地域包括ケアシステム策定の一助となりますことを祈念いたします。

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講演

逆転発想の勝利学 ~組織マネジメント 女性を輝かせるテクニック~

講演者:プロバレーボール指導者 眞鍋政義氏

●強いチームを作るためのコーチング哲学

2009年からリオ五輪までの8年間、全日本女子バレーボールチームの代表監督を務めました。目指すは世界一。そこで、私自身も世界一の監督になろうと8年間努力しました。私には3つのコーチング哲学があります。

■私はカリスマ監督ではない
女子バレーは伝統的にカリスマ監督が多かったのですが、私は違いました。そこでスタンスを変え、一方通行ではなく風通しの良い組織を作ることにしたのです。まずコーチの分業制。ディフェンスやオフェンス、サーブなど、それぞれのポジションのコーチに指導を任せました。コーチ分業制は、野球やサッカーなど他の競技では当たり前なんですね。しかし女子バレーはこれまで監督が独裁的だったため、こうしたやり方は採用されませんでした。するとどうなるか。コーチ陣には責任がありませんから、監督や選手とコーチ陣との間に温度差が生じるんですね。一緒に熱くなれない。しかし分業制なら全部数字が出ますから、コーチ陣は必死になります。われわれはチームスポーツですから、一致団結しないと勝てないんです。

■監督はモチベーターであること
女子選手はよく髪型を変えたりしますが、私は気が付きません。マネージャーに誰が美容院に行ったか教えてもらって、選手に「髪の色変えた?」「似合ってるね」などマメに話しかけました。また選手に注意したり褒めたりする時も、性格やタイプに応じてそれぞれ対応を変えたりもしました。女性は難しいです(笑)。
重要な試合の前にはスタッフと一緒にモチベーションビデオを制作し、チームみんなで観ました。これまでの活躍シーンなどをドラマチックなBGMにのせ、暗闇で大音響で上映するのですが、これで感極まる選手も多かったです。

■やれることはすべてやる
「非常識を常識にする。常識の延長線上には常識の答えしかない」。代表監督に就任した時に、日本バレーボール協会の松平名誉会長からいただいた言葉です。リスクのある選択をして新しいことに挑戦することが勝利への道なのです。
まず日本人は背が低いですから、レシーブ力を鍛えるために男性選手が思い切り打った球をレシーブするという練習を続けました。みんな青あざだらけです。非常識な練習ですね。しかし運動神経の良い選手で1カ月半、普通の選手でも3カ月もすれば慣れてくるんです。すると女子選手の球のスピードがゆるく感じるようになる。よく耐えて頑張ってくれたと思います。
また五輪前にいきなり選手の背番号を変えました。選手のデータは背番号で管理されていますから、対戦相手は混乱します。さらに外見の見分けをつきにくくするため選手全員が同じ髪型にしようと考えました。さすがにこれは選手の大反対にあって実現しませんでしたが、あの時皆が同じ髪型にしてくれたら金メダルがとれたかもしれないですね(笑)。

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●オリンピック銅メダルの裏側で

代表選手は12名ですが、13番目の選手といわれた石田瑞穂選手を紹介したいと思います。五輪に向け3年半の苦しい練習をともにし、ムードメーカーだった石田選手ですが、五輪前にメンバーから外しました。しかしロンドンには一緒に行きたかった。本人は嫌がったものの、なんとか説得して連れて行きました。ところがお母さんが危篤との連絡があり、急遽帰国することになったのです。五輪最終戦、迫田選手は自分のユニフォームの下に石田選手のユニフォームを着て試合に臨みました。そして迫田選手の目覚ましい活躍。これは何か目に見えない力があったと思わざるを得ません。これがチームスポーツなんですね。
セッターの竹下選手はロンドン五輪前のスイス合宿で、レシーブ練習のときに左人差し指を骨折しました。私もセッターでしたから「終わったな」と思いました。ところが本人は「痛くない、やらせてほしい」と言うんですね。迷いましたが、やろうと決めました。骨折のことは本人と私、ドクターだけの秘密。竹下選手にとって、それは根性というだけではない、五輪への執念だったのだと思います。

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シンポジウム:~共同と個性~これからの社会を支える人材の育成・人間教育の実践

コーディネーター
 内慶瑞氏(金城大学 社会福祉学部教授/ボランティアセンター長)
シンポジスト
 黒島秀介氏(白山市体育協会 会長)
 坂口憲政氏(金城大学 特任教授/女子バレーボール部総監督)
 木林勉氏(金城大学 医療健康学部長補佐/教授)

集団が個人の夢や人生の充実を支え、個々の充実が社会を支え創っていく。そうした健全で柔軟な社会のあり方を、さまざまな人材育成・人間教育に携わる3人のシンポジストとともに探ります。

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「自らが学ぶ力」を引き出す大学教育の挑戦

木林勉氏(金城大学 医療健康学部長補佐/教授)

かつて大量生産時代に必要とされたのは、生産性を上げるための「即戦力」でした。しかしいま求められているのは「自ら課題を発見し解決する力」です。それをふまえ、大学教育では何をすればよいのでしょうか。
学校教育は座学による一方的な講義形式が一般的ですが、これだけでは主体性は生まれません。本学部では演習やゼミ、学外活動を中心とした新カリキュラムを検討しており、教員や学生同士のグループワークやディスカッション、地域社会と連携した実践的な授業などを取り入れることで、個として「主体的に前に踏み出す力」、組織として「チームで考え働く力」を育む教育に努めています。

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「協力は強力」を信じて

黒島秀介氏(白山市体育協会 会長)

昭和50年に現能美市立辰口中学校で男子バスケットボール部顧問を務めた際、私は生徒たちに「協力は強力」を徹底的に教え込みました。地元強豪チームを破ることを目標に練習に励み、翌年には全国切符を勝ち取ることができました。後に成年女子バスケットボールの強化にも携わったほか、松任高校赴任時には男子自転車部を創設して全国大会出場を果たすなど、多くの成果を得ました。これらの成果は、生徒とともに体を動かし、一生懸命やろうという生徒たちとともに成し遂げてきたこと。私の教育者としての人生を顧みても「生徒とともに活動すること」が人間教育であると確信しています。

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世界に通用するバレーと価値観を持てる人づくり~スポーツを通じた人材育成・人間教育について~

坂口憲政氏(金城大学 特任教授/女子バレーボール部総監督)

私はかつて短大のバレー指導をしていたのですが、チーム作りにかけられる時間は4年制大学に比べると圧倒的に不利でした。ハンデを乗り越えて全日本大学選手権を制覇した経験から、勝つために欠かせないのは「人間性の育成」であるという信念を持つに至りました。他チームより質が良く濃密な練習をこなすため、さまざまな工夫をしました。例えば著名な先生の講演を聞くこと、高級レストランでマナーを学ぶこと、新聞は政治経済面も含めて読むこと、ジャンルを問わず読書することなどです。こうして研ぎ澄まされた人間性がゲームに生かされ、自分で物事を考えて行動できる選手となるのです。

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各シンポジストの発表の後、人間力や主体性、協力、協働などのキーワードをもとに、各シンポジストのディスカッションと聴講者からの質疑応答が行われました。最後にコーディネーターの内氏が「経営学者のチェスター・バーナードが提唱する組織の3要素は『共同目標』『貢献意欲』『コミュニケーション』。組織に所属するうえで、個々が意識しながら人間性を高め、それがチームに昇華されていくのではないかと思います」と結びました。
シンポジウム後には、眞鍋氏のサイン入り書籍抽選会も行われ、当選者にとっては嬉しいサプライズとなりました。